地域貢献そして全国へと支援をお届け

2024/03/22

1959年(昭和34年)創業以来、60年以上運送業に携わり、次々と事業を立ち上げ、新たな挑戦を続ける山本運輸株式会社。姫路の市場へオート三輪車で青果物を運搬したことが創業のきっかけとなった。
現在、三代目として会社を支えているのは、代表取締役の山本洋介さん。大学卒業後、取引先で1年半の修行の後、2002年に山本運輸へ入社した。
山本運輸株式会社は、運輸事業・倉庫事業・ゴムクローラー修理事業・環境対策事業・ライフスタイル事業の5つの事業から構成されている。メインは運輸事業になるが、他の事業も独創性・市場価値共に高く、各事業が山本運輸の唯一無二の事業となっている。
今回は、各事業の概要・特にライフスタイル事業について重点的に話を聞いた。

あらゆる要望に応える運輸事業

運輸事業は、距離・温度帯・大きさを問わずお客様のご要望に応じた車両を完備し、運搬に関わるすべてのものを運ぶことが可能だ。引っ越しの対応やロット数の大小関わらず、環境・品目に応じた、適切な車両選びの他にも、「迅速」「丁寧」「確実」に日本全国どこへでもお届けすることが強みである。

地域の特性を活かした倉庫事業

倉庫事業は、長期保管としての用途の他に、但馬という立地を活かして一時預かりといった取り組みも行っている。一時保管することで、遠方からの運搬コストを大幅に削減できる。加えて、仕分けや、荷物の積み替えなど、荷物が人の手に触れる機会を極力減らすことで、荷物が傷つくリスクを減らすことが可能だ。

保管するものは、梱包資材やペットボトルなどが多く、冬の前にはタイヤチェーンなどの仮置きにも利用されるとのことだ。

地域・環境のため、環境対策事業

環境対策事業は、林業部門と一般廃棄物収集運搬部門がある。林業部門では、トラックにグラップル(原木を積載するためのアームアタッチメント)を搭載し、重機が入らない狭い林道や間伐などで林地に残されていた原木の運搬が可能だ。これにより未利用の原木を有効活用できる。一般廃棄物収集運搬部門は、地域密着型の会社を作りたいと思い、ごみ収集の民営化と同時に取り組んでいる。今では、この部門を通じて地域の人とのコミュニケ―ションを取り、会社のイメージアップや事業への理解に繋がっているそうだ。

西日本唯一のプロ ゴムクローラー修理事業

ゴムクローラー修理事業は、2005年から開始した事業で全国的にも数少ない取り組みだ。一般では、破損したゴムクローラー(一般的にキャタピラーと呼称されるゴム製の履帯)は直せないと認識されていたが、直せることが少しずつ広まり今では多くの企業にご利用いただいているとのこと。ゴムクローラー修理事業は、YouTubeでも好評だ。

こちらの動画は、多くの方に知ってもらう良いコンテンツとなったという。実際に動画を見た後にお問合せをいただいて、成約にも繋がっているとのこと。また修理工程をYouTubeに掲載することで、実際に直せるという信頼にもつながっており、ゴムクローラー修理事業を広めることができていると感じているそうだ。今後もゴムクローラーが無くなることは考えにくいため、まだまだ伸びしろのある事業である。

但馬から全国へライフスタイル事業

ライフスタイル事業は、近年始めた事業で、山本社長自身の好きなことが存分に事業へ活かされている。一つ目は、レンタカー部門である。元々、従業員の福利厚生のため、休日にキャンピングカーを使用できるように導入する予定だったが、せっかく導入するのだから、レンタカー事業を行うのが良いのではないかと、2022年の5月に立案し、7月にはキャンピングカーをレンタルできる「クローバーキャンピングカーレンタル兵庫但馬店」を開業した。思い立ったら即行動に繋げる山本社長の実行力には驚かされる。

二つ目は、移動式ランドリーサービスである。
レンタカー部門発足時に大規模災害でキャンピングカーを提供できるよう、養父市と災害協定を結んでいた。その災害協定をきっかけに養父市よりヒントを貰い、山本運輸独自の移動できるランドリーサービスという万能な仕組みが誕生したという。その特長を活かして、平常時は場所を問わず利用客の多い場所へ常に移動し、普通のコインランドリーとして運営が可能だ。そして、断水などで洗濯が困難である災害時でも利用できる。
2022年9月から準備が始まり、車両準備・コンテナ製作などを経て、翌年8月に「移動式ランドリーサービス COMOREBI」は、スタートした。
そしてキャンピングカーと同じく大規模災害でランドリーを提供できるよう、養父市と災害協定を結んでいる。


スタート直後に台風7号が兵庫県を縦断し、断水や土砂崩れなど多くの被害が発生した。その際、養父市との協定に基づいて、断水被害のあった伊佐地区に「COMOREBI」を設置することとなった。災害時での運用は初めてだったが、近隣住民からは感謝の言葉を多くいただき、「COMOREBI」が災害時に活躍できるという証明になった。

その約半年後、1月1日に能登半島地震が発生した。誰も元旦に大災害が起きることは想像もしていなかっただろう。山本社長は、きっと必要になるだろうといつでも被災地に向かえるように「COMOREBI」の準備をしていた。生活支援の適切な時期を考慮して、被災日から出遅れる結果となったが、1月22日に「COMOREBI」は養父市を出発し、珠洲市へ向かった。

今も「COMOREBI」が被災地で稼働しており、引き続き洗濯の支援を行っている。山本社長は、定期的に現地で機器の点検・調整を行っており、これからまた現地へ向かうという。

「COMOREBI」の完成があと数週間遅れていれば、伊佐地区も珠洲市も今よりも良い支援は出来なかったかもしれない。
まさに山本運輸の使命のように感じる。

目指す会社像について

従業員とその家族・地域の方々に感謝されるような会社を目指す。
社屋では、自由に休める休憩スペースを作っており、休憩スペースでは、無料でコーヒー等が飲めるようになっている。このように従業員にとって憩いの場を作っていく考えからライフスタイル事業へ繋がり、最終的には大災害の支援にまで広がっている。
運送業は、ご依頼主が大切に育て作り上げた製品・商品をお客様のもとへ「運ぶ」という製造業などあらゆる産業の最終工程である。ご利用者様の願いに笑顔を添えてお届けした際に同じく笑顔で感謝される。その達成感は、他にはない感慨深いものである。その達成感のために「運ぶ」に関わることであれば、何に対しても極めたいというプロ意識は、育まれ、時に自分自身が支えられているように感じるという。

運送業に従事する人々は、ご依頼主の様々な想いを背負って、荷物をお届けしている。そのことが、やりがいでもあり、そのような姿勢で運送業に取り組む山本運輸は、荷物を預ける側にとって安心である。

山本社長は毎年、スローガンを発表している。

熟語などの言葉を捩って作り、年末に従業員に向けて発表する。1つ1つに意味が込められており、山本社長のユーモアに溢れた一面を垣間見ることができた。
真面目に楽しく話す山本社長のお人柄に引き寄せられた従業員は多くいることだろう。

またライフスタイル事業が、全国的に取り上げていただいている中で、運輸事業も負けず劣らず発展させていく必要がある。
様々な事業を展開しているが、山本運輸という1つのブランドとして基盤を形成しつつ、事業規模もどんどん広げていきたいという。
ゴムクローラー修理や倉庫・キャンピングカーレンタル・移動式ランドリーサービスなど唯一無二の事業に取り組み、挑戦を続ける山本運輸株式会社。山本運輸ブランドが全国展開され、流通・環境・災害など様々な事柄に良い風の流れを起こしていくことに期待したい。