地元愛あふれるお菓子屋さん

2024/03/04

今回お伺いしたのは、養父市十二所にある菓子工房Ruhe+(ルーエプラス)さんです。
店主の前田さんは、小学生の頃からお菓子作りが大好きで大学卒業後は山梨の大手洋菓子メーカーで、ラインでの製造業務と商品開発業務を経験した後、さらに技術を身につけるためエコールキュリネール国立(現エコール辻東京)へ入学。卒業後、Uターンで豊岡市の洋菓子店に16年間勤務し、2022年10月22日に菓子工房Ruhe+をオープンしました。
ハーブやスパイス、全粒粉や粗糖など、身体に優しい素材を使ったおやつを販売し、レトロな雰囲気のお店は、前田さんのお母様のご実家である古民家を改修して再利用されています。
おやつへのこだわりや古民家の活用、地域への思いなどを店主の前田さんにお話を伺いました。

菓子工房Ruhe+のこだわりおやつのヒミツ

店内に入ると美味しそうなスコーンやマフィン、クッキー、チーズケーキなど数多くのおやつが目に飛び込んできます。商品には自家製あんこや煮豆、旬のフルーツコンフィなどを使用されているそうです。さっそく、おやつへのこだわりを聞きました。
「基本的に、体に悪いものほど美味しいですよね。スナック菓子とかインスタントラーメンなどは定期的に食べたくなりますが、それを食べたら身体に悪いなと罪悪感があります。」と前田さんは言います。
一般的に甘いお菓子はどうしても身体に悪く、甘さ控えめの方が良いというイメージを持たれがちです。でも甘いおやつは日常生活で食べたい。
そんな葛藤がある中で前田さんは、どうせ食べるなら美味しくて食べても罪悪感のない、身体に優しいおやつを作ろうと菓子工房Ruhe+オリジナルの商品を開発していくことを決心しました。

ハーブやスパイス、全粒粉や粗糖など身体に優しいとされている素材を使用し、尚且つ、自分が使いたいと思っているものを出来る限り国産で、地元の素材でおやつを作っています。
“自分で食べても罪悪感がなく、人にプレゼントするのが楽しい。特別でなく日常生活で食べる食事の一部になるようなおやつ”をコンセプトに日々商品を作られています。
また、甘いものばかりではなく、塩気がありおつまみや食事代わりにもなるカレーマフィンや、パルミジャーノチーズにフライドオニオンが入ったスコーン等も販売されています。
食事系のマフィンはなかなか見かけないので食べてみたいですね。

地元素材との出会い

菓子工房Ruhe+さんには、地元固有の素材を使用した蛇紋岩米米粉や八鹿浅黄きな粉・味噌を使ったクッキー、バスクチーズなど、オリジナルの焼き菓子があります。
中でも、八鹿浅黄のきなこと味噌を使うきっかけになったエピソードがありました。

前田さんは、お店をするなら地元素材を使用したいと思い調べていた時に、地元のカフェで八鹿浅黄を使用した味噌と出会いました。味噌があるということは、きなこもあるのではと思っていた矢先、たまたま八鹿浅黄で味噌を作っている方がカフェに来られていたことがきっかけで、味噌ときなこを仕入れることが出来るようになりました。また、地元で作られているため、発注時に焙煎具合も指定ができるので、市販されているきなこよりも粒子が残っていてとても香りがいいそうです。

おやつ作りのやりがいとむずかしさ

続いて、おやつ作りをしていてどのような時にやりがいを感じるかお聞きしました。
「やっぱり美味しかったと言ってもらうことが一番ですかね。リピーターになっていただけたらやりがいを感じます。また、作っている時に『こういうおやつを作りたい』と頭の中で考えている通りに出来たときは嬉しいですね。」と前田さんは言います。

試作品は、1~2回で成功することもあれば、何度も作り直すこともあるとのこと。作業設備や道具・材料が、開業前に勤めていた職場と違い、自分の思っているように作れないこともありますが、試作を重ね、作りたいものにピタッとはまった時にやりがいを感じるそうです。
菓子工房Ruhe+さんのマフィンやスコーンは、中身の具材が違うと生地の配合も変わります。素材や生地の配合にこだわっているからこそ、作りたいものが作れた時の嬉しさは計り知れません。
こだわり抜かれたおやつの中から、この季節のおすすめ商品を聞きました。(2月16日時点)

  • イチゴとホワイトチョコのマフィン
    これからが旬のイチゴとホワイトチョコがたっぷり入っています。
  • 生姜のコンフィと黒糖クランブルのマフィン
    自家製の生姜のコンフィが入っています。取材日は雨が降っていたため、身体が暖まる生姜がピッタリでした。
  • スコーン
    中がしっとりとしたスコーンで、おやつにもごはんにもなります。また、イートイン限定でスコーンサンドがあります。
  • 八鹿浅黄のきな粉を使用したスノーボールクッキー
    ほんのりと優しいきなこを感じられます。

これからの夢や目標について

最後に、今後の目標を伺いました。
「大きな目標として、地域活性化の役に立ちたいです。過疎化が進んでいるので、但馬にいた人が『帰ってきたいな』と思ってもらえるように貢献していきたいと思っています。最近は、どこに住んでいてもインターネットで買い物ができます。リモートで仕事もできます。交通が便利になったり、面白いと思える場所があれば田舎のほうが住みやすいと思っています。例えば、都市部の方がお店に来られた際に『古民家をこうやって使ったら良いんだ!田舎の方が子育てもしやすそう。』と参考にしていただいて、少しでも移住者が増える糸口になれれば嬉しいです。」と地元愛たっぷりにお話してくださいました。

お店の建物は明治元年よりも前に建てられており、建具や天井はそのまま利用。特にイートインスペースは古民家にしか出せない味わい深い空間となっています。イートイン限定のおやつもありますので、ぜひ足を運んでみてください。