内山いちごの国 多くの人に愛されるイチゴができるまで

2023/09/27

豊かな自然に囲まれた養父市長野にある、「内山いちごの国」。
朝来ICを降りて10分ほどの場所にあり、道路沿いの看板が目印になっています。
今回は、代表の荒木さんにお話を伺いました。

内山いちごの国の始まり

当初は、内山地区(養父地域)の村おこしを目的として平成15年から始まったそうです。
荒木さんは、「内山いちごの国」開園時から農園の運営を手伝っておられ、平成28年に代表に就任されました。
現在は荒木さんと息子さんのお二人で運営されています。

「内山いちごの国」では、高設栽培という方式でイチゴを栽培しており、
小さなお子様はちょうど目の高さでイチゴを収穫でき、大人は腰ほどの高さの設計になっているので、しゃがまずに楽な姿勢で収穫を行うことができます。
また、土を用いない水耕栽培のため、そのまま口に入れられる清潔で新鮮なイチゴ狩りを楽しむことができます。

 

イチゴの品種へのこだわり

「内山いちごの国」で栽培している品種は、「章姫」という品種のイチゴで、大粒になりやすくて酸味が少なく、甘みがとても強いという特徴があります。
酸味が苦手でイチゴが苦手な方でも、「このイチゴなら食べられる!」というお客様もいる程だといいます。

多くの人に愛され、求められる「内山いちごの国」のイチゴ。
しかし、そこに至るまでに数々の試行錯誤と努力があったのです。

過去には他の品種を育てたこともあるそうですが、お客様の9割がこの「章姫」がよいといわれ、
現在はこの「章姫」の1種類に特化した栽培をされています。

しかし、この「章姫」という品種は病気になりやすく、栽培管理が難しいといいます。
一株でも感染すると、あっという間に一帯に被害が広がってしまいます。

感染のタイミングの多くは育苗の段階で、感染源の早期発見に細心の注意を払っておられます。
また、温暖化で花が咲く時期が遅くなっており、それによりイチゴの収穫時期もずれてしまうため栽培管理の難易度が上がっているといいます。
徹底した温度管理、水やりの方法を工夫するなど、現在も良い方法を探しながら試行錯誤されておられます。

 

モットーは『安売りしないこと』

荒木さんは言います。
「内山いちごの国のイチゴは、近隣の農家さんが販売しているイチゴと比べると、高価格になっているんです」
それでも、売り場に内山いちごの国のイチゴがあれば、先に完売するほどの人気があるそうです。

その昔、荒木さんがよく言われたというのが、「絶対に安売りはするな」という言葉でした。
当時はその価格設定を理解してもらえず、地元の小売店に出品しても売れ残ることもあったといいます。

しかし、買って下さったお客様や、身の回りの人々から、「内山さんのところのイチゴはおいしいんだから、値段を下げちゃいけない!」という声が寄せられました。
その声に応えるため、荒木さんは「安売りしない」という方針を貫くことを決めたのです。

そして、徐々に京阪神エリアを中心に売り上げが伸びていき、最近では地元のスーパーや道の駅でも完売するほどの人気になりました。

今では、「ここのイチゴじゃないと食べれない!」「今まで食べたイチゴのなかで一番おいしかった!」そんなうれしい声も届くそうです。
「うちのイチゴが好きと言ってくれるお客様のために、高くても買っていただけるような価格に見合った価値のあるイチゴを作り続けたいです」
と荒木さんは語ってくれました。

 

お客様の声を取り入れた商品開発

※写真は夏季限定のクラッシュアイスベリー

「内山いちごの国」では、お客様の意見を何より大切にしておられます。
お客様の声でイチゴの品種を「章姫」のみに絞ったり、
「こんな商品があったらほしい」「生の苺以外のおみやげなどがあったらいいなあ」といった意見をきっかけに、イチゴの加工品の販売を始めたといいます。

加工品は、イチゴ大福やロールケーキ、季節限定の商品など、さまざまな展開があります。
荒木さんはこう語ります。

「すべての商品が自信作です!どうせ作るんだったら、みんなが笑顔になってくれるような、
めっちゃ美味しいものを作りたいんです」

 

コロナの被害と現在

「コロナには本当に参りましたよ、本当に勘弁して!って思いでいっぱいでした」
今でこそ来場者数は回復しつつありますが、当時は大変だったといいます。

新型コロナ感染症で大打撃を受けたそうで、コロナ前では年間8000人ほどの入場者だったのが、
コロナ初年度では1500人ほどになってしまいました。

今でこそ徐々に回復しつつあるそうですが、想像以上の被害を受けておられました。
荒木さんはこう続けます。

「コロナ前よりも多くの方に来ていただけるよう、おいしいイチゴを作るのはもちろん、いままで以上にお客様の意見に耳を傾けて、
美味しくて楽しい体験をしていただける場を作っていきたいと思っています」

 

こだわりをもってイチゴづくりや商品開発をされておられる荒木さん。

そのこだわりには、お客様に寄り添った、あたたかい想いが詰まっていました。
ぜひ、一度「内山いちごの国」に訪れて、いちご狩りを楽しんでみてください。

予約・商品の購入はお電話で受付しておられます。
TEL:079-666-0309