乳酸菌で美味しく元気に!美人木耳

2023/08/04

養父市の商業集積施設 やぶワイタウンの向かいにある建物に、達筆な筆文字で「美人木耳」と書かれたのぼりがはためいている。ここは兵庫県産菌床できくらげを栽培、販売している「合同会社やぶアクア」。

建築会社の敷地内にあり一見してキノコの栽培をしているようには見えないが、一体どのようにきくらげを栽培しているのか?建築会社との関係は?気になることが色々あるのでお伺いしてみた。

今回お話をお伺いしたのは合同会社やぶアクア代表の三木麻琴さん。スレンダーで美魔女という言葉がしっくりくる、とても明るく元気な方だ。

きくらげ栽培を始めたきっかけは建築会社の会長でもある父が、好きなきくらげを毎日食べていて「よそで買ってきて食べるより自分で栽培したらどうか、それなら人がやっていない事をしよう!」と思い立ったことだそうだ。

三木さん自身もきくらげの栄養や美容効果を知っていて好んで食べていたという。

なるほど、美魔女の素はきくらげにあり。

商品名の「美人木耳」は、きくらげが食物繊維豊富でカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれており美容や健康にもよいと言われていることから「女性の体に嬉しい栄養成分が豊富に含まれている美人木耳を食べて健康美人になろう!」という父の発想から生まれた。

そして美人木耳の特徴はなんといっても栽培過程で「乳酸菌」を噴霧していることだ。

きくらげ栽培を始めるにあたって知人が作っていた野菜栽培に使用する乳酸菌を紹介してもらったことで、きくらげにも乳酸菌がよいのでは?と考えキノコ栽培用にオリジナルの乳酸菌を作ってもらい栽培に挑戦することになった。

世界初!乳酸菌を使ったきくらげ栽培とは?

やぶアクアの隣にはミネラルウォーター工場も併設していたため、ミネラルウォーターのみと、乳酸菌とミネラルウォーターを使用したきくらげを試験栽培し、成長の過程や栄養価の違いを比較した。その結果、カルシウムやマグネシウムが乳酸菌を使用すると格段に増えていることが分かった。

それからは乳酸菌を希釈する割合や回数、室温や湿度の研究が始まった。

特に大変だったことは「環境づくり」。

日々変わる気温や湿度を一定に保つことにとても苦労されたという。

「はじめは温度を一定に設定しているにも関わらず、寒すぎたり暑すぎたり…なかなか成育が安定しませんでした。換気も必要で扇風機を使用したり入口の開け閉めで調整してみたり。どれが正解かわからずとにかく色々試しました。冬の寒さは特に大変でした。ストーブをつけてみると湿度が下がったり置き場所によって成育に差が出たり。」安定して品質の良い木耳が生産できるまでは苦労の連続で、美人木耳の規格に合う肉厚のきくらげを栽培できる環境を作るために1年を費やした。

毎日室温、湿度の確認と換気など毎日お世話する必要があり、父と交代で毎日作業に当たっている。「手間のかかる子どもみたいなものですね(笑)手をかけてあげれば肉厚の良いきくらげに育ってくれるので嬉しいですね」と笑いながら答えてくれた。

まずは但馬中に「美人木耳」を広めたい

現在の販売先は「たじまんま豊岡」「たじまんま和田山」「道の駅ようか但馬蔵」「道の駅但馬のまほろば」「道の駅但馬楽座」の5店舗。その他に飲食店に直接販売したり個人的に購入にこられたりするそうだ。

販売先では出荷してからすぐ完売になるほど人気があり、知り合いから「買いに行ったら無かった~」と言われて慌てて追加納品することも度々あるので、きくらげのお世話以外は日々但馬中を走りまわっている。

商品を売り場に並べているときに「これはどうやって食べたらいいの?」と声をかけられることもあり、そんなときにはお勧めの食べ方を伝えるそうで、お客さんも「それなら買って帰るわ!」と言ってもらえ直接お客様の反応が見られることが嬉しいという。

レシピをインスタグラムで発信するなど、中華料理に偏り気味な「きくらげ」を、新しい食べ方で提案を行っている。

Instagram  https://www.instagram.com/yabuaqua/

創業塾での学びとご縁、これからの夢

やぶアクア創業にあたり、商工会主催の創業塾に参加してセミナーを受講し、そこでの学びや同期受講生の考え方、夢に向かうパワーに刺激を受けた。

この時の出会いは今も続いていて、それぞれの近況報告や情報交換、仕事のことなど会うと話が尽きない。

創業塾については、この春に建築会社を継承するためにUターンした息子さんにも経営についての学びはもちろん、地元でのつながりや輪を広げるためにも機会があれば是非受講させたいと思うくらい有意義なものだった。

創業塾の際に発表した事業内容にもある「中からも綺麗に外からも綺麗に」というコンセプトできくらげを使った美容につながる商品開発も将来の夢として抱いている。

「今は但馬中心の販売ですが、ネット通販などで全国に美人木耳が広がっていってほしいですね。まだ栽培場所を広げるまではいかないですが、安定した品質のきくらげ一定量、毎日出荷できるように日々きくらげの管理することが今の目標です。まだ少し安定しないときもあったりするので。父と仲良く?喧嘩しながら毎日きくらげの成長を楽しみに頑張ろうと思います。それからですね。次の夢に向かってステップをあがるのは(笑)」と三木さんは笑う。

乳酸菌の有効性に気づき、きくらげをわが子のように親身になって手間をかけて育てる三木代表。女性経営者ならではの視点できくらげの可能性を考え、大きな目標に向かうやぶアクアの「美人木耳」は地元の名産品としてその名を広め、養父市の名産品として末永く愛される商品となるだろう。最終目標の「外からも綺麗に」を達成する日もそう遠くないかもしれない。