多肉の植物に魅了されて

2023/07/28

養父市畑ヶ中に今年の1月にオープンした「多肉BASE」さんは、300品種以上の多肉植物をビニールハウス内で栽培しながら販売しています。多様な品種を取り扱い、寄せ植えに必要な広いスペースを確保されており、昨今の多肉植物の魅力に迫りながら取材させていただきました。
色鮮やかな種類の多肉植物がずらりと並ぶ広々としたハウス内は、丸くて愛くるしい形や放射状に伸びるトゲトゲしたもの、フレア状になった花びらのような形などひとつひとつが個性的で、見ていて飽きない魅力的な空間になっています。
特に薔薇の様な美しいロゼット型でエケベリア属と呼ばれる多肉植物は女性がはまるイメージですが、店主は男性の武村さん。多肉植物に魅了されていったきっかけは何だったのでしょうか。
「妻が以前から趣味で育てた多肉植物が徐々に増え、趣味のDIYでその置き場所になる棚を自作するなど、身近に多肉植物はありましたが、興味を持つきっかけは三重県で開催されたイベントに夫婦で足を運んだことです。3年前のコロナ禍にもかかわらず他府県から2000人の来場者があり、苗も15000点以上ある商品がほぼ完売。来場者の方の熱気と楽しそうにしている姿を見て、面白さが徐々に伝わってきました。」
そのイベントにとても感動され、元々花や植物には興味がなかったそうですが、多肉植物は花の様な形をしていますが実は葉っぱという意外性や、可愛い赤やピンクのものもあれば、紫色や黒系のクールでかっこいいものもあり、女性だけでなく男性にも受け入れられるのではないか、と武村さんは感じ、益々多肉植物に魅了されていきました。
「農業で生計を立てていますが、イベントを見て心に火がつき、養父市に多肉植物専門のお店を作り地元の多肉ファンだけでなく他府県の方も来て頂けるようなお店づくりにチャレンジしたい気持ちになりました。」

季節によって変化が楽しめる。

多肉植物は春に花が咲き秋になると紅葉します。但馬特有の寒暖差は多肉植物をより美しく紅葉させます。紫外線の強い夏は葉が焼けて変色することもあり、サボテン同様雨ざらしにできないものが多い為、多肉BASEではビニールハウス内での栽培は大型扇風機を設置し、冬はストーブを焚くなど温度と湿度、風通しにも気を配るようにしています。枯れ葉もそのままにしておくと鉢の中で蒸れてしまうので梅雨と夏は枯れ葉を取る細かい作業をします。多肉植物は増やすのも簡単で取った葉を土に挿し(葉挿し)数日すれば新しい芽が出てくるので、置き場所と水やりと環境が整えばどんどん増えていきます。栽培好きの方には成果が伴えるので、自分が育てた実感が湧き、愛着が増すそうです。

「多肉植物の魅力を知る事ができたきっかけは妻でしたが、作業をやり始めると夢中になってしまい、植え替えや葉を取る作業等、黙々とできるので1日があっという間に経ち、時々、妻に「早く帰って来い。」と言われるほど、今では僕の方が夢中になっています。」
と、笑います。

 

展示用の木製の棚や看板は武村さんが手づくりし、店内にある装飾等は、奥様が手づくりされていて、“スタイロフォーム”という建築資材の断熱材をカットしてモルタルを塗りアンティーク調のデザインに仕上げていきます。多肉植物とよく合い素敵に演出されています。
「但東町のここより1年早くオープンした栽培にとても詳しい同業者の方や、今秋朝来市にオープン予定の方とも連携を取り、今後協力してイベントや面白い事ができるのではないかと思っています。」

但東町の同業者から、寄せ植えするなら「多肉BASE」とお客様を紹介して推してくれるのは、お互い信頼関係があるからこそ。同業者からも慕われ、来客者の気持ちに寄り添う姿勢が、信頼につながっていると感じます。
「土を触りながらたくさんの種類の中から選んで作る寄せ植えは、組み合わせる楽しみがあり、自分だけのオリジナルができるので愛着が湧き、お客様には大変喜んでいただけていると自負しております。園芸好きな方など花が枯れた後の鉢を大切にお持ちではないでしょうか、ぜひ寄せ植えをしてリユースしていただきたい。」
彩り豊かな多肉植物の寄せ植えは、華道ならぬ多肉道と言っても良いのかも。

 

ファンの方の繋がりを大切にしていきたい

「八鹿町内の飲食店やカフェの方にも協力してもらいながら、観光に来られた方にお互いお店を紹介し合えたらいいなと思います。今後は地元にあるお店のDMやパンフレットを置き、町内を巡ってもらえたらと思います。」

今後の展望として、地元の方だけでなく、観光に来られた方にも多肉植物の楽しさも伝えたい武村さん。多肉植物を通して交流が生まれた場所で、今後はハウスの隣にある柿の木にもスポットを当て、養父市の特産品でもある畑ヶ中の柿の収穫体験や食べてもらえる機会を考えておられます。
「今は土日のみ営業をしていますが、今後はリサーチしながら平日も開ける事を考えています。寄せ植えに来られたお客様の写真をInstagramに投稿し、情報を発信しながらファンを広めていきたいです。遠方から来られる方、ガレージセールをされておられる方、多肉植物初心者の方など30代~60代の幅広い年齢の方と繋がって来店してフォローをしていただけると有難いです。それにもっと地元の方達にも浸透して但馬に広がっていければいいなと思っています。」
今後は来客者を増やし、お店を知ってもらう事を目標にされ、時期をみてスタイロフォームを使ったモルタル造形やシールを重ね貼りするコラージュ鉢を造る手づくり体験教室や出張やイベントでの寄せ植え体験教室で多肉植物ファンと一緒に楽しむ事を計画中とのこと。
初心者の方でも気兼ねなくアドバイスをしてくださる親しみやすいご夫婦なので、幅広い角度から楽しみ方や育て方を紹介しながら、この地で益々今後も多肉植物人気は高まっていきそうです。

【多肉BASE】

兵庫県養父市八鹿町八木573-1

●営業日 土日祝日

営業時間/10:00~16:30