最高の景色と絶品本格ピッツァを楽しめる山のレストラン
西日本有数のスキー場として知られるハチ高原スキー場。
標高870mに立地する「山のレストランC’s(シーズ)」はスキー場の食事処では珍しい本格的な窯焼きピッツァをメインとするレストランで、初代が50年前にハチ高原開拓と同時に宿泊施設を作ったことが原点となっている。
お話を伺ったのは笑顔がとても素敵な店長の田渕いずみさん。
実は元銀行員で2015年、宿泊施設(現:グリーンホテルやまなみ)のリニューアルオープンを機に、ホテル運営が人出不足になると知り家業を継ぐことを決心した。
現在はレストラン運営を妹の田渕さんが、ホテルの運営を姉が担当している。
先代の父が約30年前、『カフェテリアC’s』としてゲレンデサイドにレストランをオープンした時はスキー客をメインにした冬季限定の営業スタイルだった。
当時のコンセプトは「脱ゲレンデ食」。
ゲレンデ食はレトルトなど美味しくないというイメージが強く、それを変えたい!スキーやスノーボードを楽しんで、お食事も美味しくトータルで満足して頂けるようなレストランにしたい!という熱い想いから始まった。
ピッツァはシェアができ、大人も子どももみんなが大好き。クリスピーなローマ風ピッツァは早く焼けるし提供時間も短くできると考えメインメニューに採用した。
本場イタリアからピッツァ用の石窯を輸入し、ピッツァ専用の粉やチーズもイタリアから取り寄せ、生地とソースは自家製と材料にもこだわり本格的なピッツァを提供することとなった。
グリーンシーズンのおすすめは「選べるピッツァランチ」¥1,650-(価格は取材当時)
直径約23㎝の一人前ピッツァと前菜3種、手作りポテトフライのセット。ピッツァは4種類の中から選べるのでトマト&モッツァレラをチョイスしてみた。
特別に作るところを見せていただくと、綿棒を巧みに使い丸く均一な薄さに伸ばしていく。
石窯には広葉樹のクヌギの薪のみを使用。ヤニが出ず長く燃えるため窯の中を高温に保つことができ、薄焼きでパリパリの生地が特徴のローマ風ピッツァには欠かせない。
丁寧に自家製ソースと具材をトッピングして石窯へ入れると、ほんの数秒で生地が膨らみ始め焼き目がつき、加減を見ながら生地を回転させること4分程で焼きあがる。さすが石窯の温度はすごい!
お味は言うまでもなくボーノ!小麦の風味がたっぷり感じられる生地はパリパリと何枚でも食べられる軽い食感。フレッシュトマトも程よく火が入り、旨味と酸味がチーズとの相性抜群♪家庭菜園で育てたフレッシュバジルは爽やかな風味でこれぞ本場のピッツァ!
他にも生パスタセットのミートソースは初代が考案した秘伝のレシピをそのまま受け継いだ50年変わらない自慢の味だ。(パスタセットの内容は、季節や旬により変更あり)
季節の旬の野菜を地元農家さんから仕入れたり山で採れる山菜をピッツァや前菜に使うなど、地産地消にも心がける。
夏にはズッキーニとチキンの八鹿浅黄(ようかあさぎ)味噌ソースのピッツァが季節メニューに登場予定とのこと。聞いただけでも美味しそうな組み合わせ!メニューに登場するのが待ち遠しい♪
但馬の自然と一体化するレストランへ
コロナ禍による外出自粛で学生の教育旅行中止やスキー客大幅減など、主力のホテル業が大打撃を受ける中、密を避ける生活が浸透しレストランへの来客も激減した。密になる注文システムの根本からの変更や客席面積を広く確保するためにも、大きい支援の補助金があったタイミングで再起を図りレストランの建て替えを決断。
空前のアウトドアブームを迎えハチ高原にもキャンプ場がオープンするなど周囲も変化をして行く中、自分たちも時代に合わせて変化して次の世代に繋いでいかないといけないと考えられたそうだ。
ピンチをチャンスに変え、タイミングを逃さずに決断して行動した結果が今回のリニューアルにつながったと田渕さんは言う。
リニューアルに際し一番に考えたことは、お食事と自然豊かなハチ高原の景色を一緒に楽しんでもらえる、「自然と一体化できる空間作り」という点で、氷ノ山~高丸山~鉢伏山までパノラマで見渡せるように大きく窓を配置。建物は木造にこだわり国産県産材や木製窓サッシを採用。すると結露を防ぎ断熱効果もアップし省エネになった。断熱材も人や自然に優しい素材を使用しており、SDGsの観点からも時代に即した建物になっている。
また、設計上必要な柱に折り畳み式のテーブルを備え付けるなど、スペースの有効活用や季節に応じた店内レイアウトの変更も可能で、夏季シーズンには地元作家の作品や農産物などの物販も行い、地域の魅力を発信している。
地域を元気に!地域の良さを知ってもらいたい!
いずれは広々としたスペースを使ってワークショップやピッツァ作り体験などのイベントも企画してみたいなど、田渕さんの展望は広がっている。
「地域にたくさんの人が来てもらえるようなイベントなどいろいろやってみたいです。定期的に開催して沢山のお客さんに来ていただいて、養父市やハチ高原の良いところを知っていただいたり、食事を通してこの地域の特産物などにも興味を持ってもらいたいです。新春花火大会には毎年楽しみに来られるお客様もおられるので、ハチ高原のイベントでもっと楽しめるようにしていければ…。夏にはビアガーデンとかできたらいいですね。
あとはコロナをきっかけにネットでもピッツァを販売していて、これからはクリスマスや誕生日などに使って頂けるようになれば嬉しいです。」と田渕さんは笑って言う。
祖父から続くハチ高原の歴史を次世代につなげていく
祖父がハチ高原の開拓メンバーの一員としてホテルを創業してから50年以上。祖父から父へ、父から姉へと受けついだ宿泊業と父から自身が受け継いだレストラン業を切り盛りしていくうえで大切にしていることは、父からの言葉にあるそうだ。
【時代に合わせて変化していく。そんな大儲けはしなくていい。ずっと続いていく会社にしたい】
「続くということは存在価値があるということで、必要とされているということ。環境や状況、ニーズは常に変化していくので伝統的なものは残しつつ、いかにそれに応じて変化していくかが大切だと思います。」と真剣なまなざしで語ってくれた。
家族経営ゆえに父と意見の衝突はあるがメニューに関しては田渕さんに一任されている。
「メニュー開発には色々チャレンジしています。なんでもやってみないと。父にはできたメニューの報告はしていますが、特に何も言われないですね。(笑)ご家族で遊びに来られるお客様も多いので、子どもさんが自分で作るアイスなど思い出に残るような仕掛けもあります。」と店内のアイスマシンを指さして教えてくれた。
女性店主ならではの気遣いや発見がお料理や店内にちりばめられた山のレストランC’s。若き3代目店主のアイデアと持ち前のセンスが新しいメニューやイベントに広がっていくと思うと今後の展開がとても楽しみである。
【スタッフ募集中!】
お料理作りが好きな人や接客が好きな人はぜひ一緒にお仕事しましょう!
アットホームな仕事場ですので初めての方でも丁寧にレクチャーします。
ピッツァ作りの技術も覚えられます!一緒にハチ高原を盛り上げていきましょう♪
【山のレストランC’s】
●夏季営業 金・土・日・月
定休日/火・水・木
営業時間 11:00~15:30
●冬季営業 スキー場オープン~クローズまで(12月下旬頃~3月中旬頃)
期間中無休
営業時間 土日/8:30~16:30
平日/11:00~16:00
※いずれも30分前ラストオーダー