造園屋さんが作る朝倉山椒、栽培のカギは腐葉土

2019/06/04

養父市の特産品といえば「朝倉山椒」。鮮やかな黄緑色の実で、ピリリと辛くて、柑橘系の爽やかな香りが特徴です。
今回ご紹介するのは、造園業の傍ら栽培時農薬不使用で朝倉山椒の栽培をする小野山政幸さんと貴美恵さん夫妻。

2人が栽培する朝倉山椒は、お客さんから「実がキレイ」と絶賛される逸品なんだとか。どんな育て方をしているのか、さっそく畑にお邪魔しました。

造園業の合間で育てられる!

 小野山さんの山椒畑は、旧養父町玉見地区にありました。見晴らしのいい小高い場所の畑など、5カ所で160本の朝倉山椒を育てています。

小野山さん夫妻が朝倉山椒を作り始めたのは6年前のこと。休耕地があったことや、造園業の仕事が落ち着く冬から春にかけて何かできないかと考えていた時に見つけたのが朝倉山椒でした。

山椒の管理といえば、5月下旬の収穫作業、3月中旬から下旬の剪定作業がメインで造園業の仕事の合間で出来る。しかも、政幸さんは木の管理に関してはプロ。そのうえ、貴美恵さんは大の山椒好き。

「これはやるしかないと思い、『あんたなら栽培できるよ!』と旦那をけしかけた」と貴美恵さんは笑います。

最初からたくさん植えるのには不安もあったけれど、畑に植えられる163本の苗木を植えたといいます。

植えてから3年目で実が採れはじめ、年々収穫量は増加。上手な管理で160本の樹が生き残り、2018年は400kgも収穫できたといいます。

剪定して実を大きく

もともと農家でもないのに何で上手に育てられるのか。

小野山さんの山椒畑を歩いていると、所々に植木職人の技術が活かされていると感じました。

特にそれを感じたのは「剪定」。

小野山さんの山椒の樹を見ると、スッキリサッパリ散髪されている感じ。

これは政幸さんのこだわりで、樹が混み合ったところが薄くなるように剪定しているといいます。こうすることで、どの実にも太陽の光が当たり、風通しもよくなる。さらには、実ひとつひとつに栄養が十分に行き届き、実が大きくなるといいます。

また、政幸さんは「剪定すると収穫作業がしやすい」とも話します。樹を低めにカットすれば、高い脚立を使う必要はなし。

「主人が立派に育ててくれた」と貴美恵さんは話しますが、時には「切り過ぎ!」と注意することも。

「剪定を始めると、造園屋の血が騒いでいっぱい切っちゃう」と、政幸さんは苦笑いしていました。

手作りの腐葉土が栽培のカギ

数週間後に収穫を迎える小野山さんの山椒の樹は、ずんぐりと太く、枝先にはたくさんの実が成っていました。

山椒の樹が立派に育っているのは、剪定などの管理が行き届いていることはもちろんですが、2人が特に重要視しているのは「手作りの腐葉土」だといいます。

手作りの腐葉土とは、7~11月に造園の仕事で出た細い剪定枝を集めて山積みにし、それを発酵させたもの。この栄養豊富な腐葉土を翌年の6月、朝倉山椒収穫後に樹の根元にたっぷり撒くといいます。

「中にはカブトムシの幼虫がいっぱい」と貴美恵さん。栄養価の高い腐葉土を撒くことで、樹に栄養がしっかりいくといいます。

また、腐葉土は樹の根元の乾燥防止にも役立ちます。6月頃に樹の根元を堆肥で覆うことで、夏の暑い時期を乗り切れるそうです。

腐葉土の効果で「樹が生長し、キレイな実ができる」と、小野山さん夫妻は確信しています。

朝倉山椒の実

朝倉山椒の加工品も販売

年々、収穫量が増えている小野山さんの山椒畑。2017年からは「風華 Fuka」という屋号で、山椒の加工品の販売を始めました。

委託加工で作ってもらった商品は「朝倉山椒粉」と「朝倉山椒塩」の2つ。山椒の風味と自然な色を保つために「低温真空乾燥法」という加工法で作られています。

もちろん、添加物も使っていません。

「朝倉山椒粉はうどんや親子丼、ウナギなどに振りかけて。朝倉山椒塩は焼いた肉とかに使えますね。白ご飯にかけるのが美味いという方もいます」と、貴美恵さん。

商品は「おのやま庭園 風華 Fuka」のホームページや、但馬地方の道の駅など9カ所で販売中。

また、風華 Fukaの加工品のほかにも、生の実を市内のケーキ屋さん「カタシマ株式会社」に卸して使ってもらっています。

「カタシマさんからは『こんなキレイな朝倉山椒見たことない』って褒められるの」と貴美恵さんは嬉しそう。

カタシマ株式会社が商品化した「朝倉山椒のタプナード」は経済産業省のプロジェクト「wonder500~日本が誇るべき優れた地方産品」に選ばれたといいます。
     
朝倉山椒の栽培を始めてから勢いが止まらない小野山さん夫妻。今後の抱負は、生の実の販売を強化すること。

「個人の方にも業者さんにも食べてみてほしい。養父市を越えて、県内外の人にも朝倉山椒の美味しさを伝えたいです」と小野山さん夫妻は話してくれました。